藤岡ハルヒの憂鬱 コンシーラー編




 ただ今ホスト部営業に向けての準備中。
 着替えを先に済ませた光の元へ、馨が怒りの形相でやってくる。ちなみにここに居るのは一年生ズ。先輩方はまだまだやってくる気配は無い。
「ちょっと、光!! 見えるところにつけないでっていつも言ってんじゃん!!」
「えー、別に隠すもんでもないデショ。僕と馨の関係なんて皆知ってるヨ」
 光の言葉にハルヒは無言で頷く。
 だが馨は、知られていても宣伝するようなことはしたくないとばかりに食って掛かる
「こんなに首筋につけたら、『あー昨夜お楽しみだったんだなー』って思うに決まってるよ!!」
 制服だとネクタイもあるし、ギリギリ見えない位置だったが今日のこの衣装だと見間違いにするには堂々と跡が残っていて……。
「いや、実際お楽しみだったじゃん? それと桜蘭のお嬢様がそんな下品な深読みしないと思うけど?」
 虫に刺されたとか、どこかで打ったとか思うはずだ。ただし近頃はあのマネジャーのせいで妙な知識を吹き込まれているのも確かだったが馨には言ってやらない光である。
「でも、殿とか鏡夜先輩は気付くと、思う……」
 光の説得に多少落ち着いた馨だったが、やはり光の行動を肯定出来なくて……。
 しかし語尾の消えそうな馨の様子に光の目が不満を表すように細められる。
「へー、馨は殿とか鏡夜先輩にバレたくないんだー。それってサ、僕達の事隠したいって事でー、言い換えればあの二人には『キレイな体です』って思われたいって事デショ」
「えっ、そんなつもりじゃ…」
 途端に不機嫌になった光に馨はたじろぐ。
「どっちなの? 馨が僕の行動にケチつけるぐらい好きになったのって殿? 鏡夜先輩?」
「ちょっと! 僕が好きなのは光だけだよ!」
 光が馨に詰め寄ると、覚えの無い言いがかりだと馨も否定してみせて……。
 だがその言葉に光の表情が一変した。
「じゃあ、どこにつけても大丈夫じゃん」
「うん…まぁ。そうなる、かな?」
 好きな人につけられたって文句無いはずだよね? と、光は笑顔で……。
「ってコトでー。ココにもつけとこーっと」
 ガバッとその場で馨を押し倒す光。
「光!!!」
 やだーとか言いながらも本気で抵抗しない馨。そして彼の白い喉元に新たにつけられるキスマーク。


 ハルヒは彼らのメイク用品の中に、何故に各メーカーのコンシーラーが揃っているのか瞬時に理解したのであった。









拍手のログです。ちょっと加筆。軽井沢で何故馨がコンシーラーを常備しているのか…。と疑問に思ったというか、その瞬間二人の関係を確信。夏場は露出も多いし特に必須アイテムのようです。ちなみに日焼けした時とかのために色もたくさんあるに違いなくて、どこのメーカー使ってんのかなーとか…。ええ妄想は尽きません(笑)

そして、これを読んだ時にいただいた短編がこちら☆慧様ありがとうございました!!!



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