最後の恋 6
母と伯母さんとの気乗りのしない食事を終え、急いで帰宅した僕は似合わない服を脱ぎ化粧を落としていつもの自分へと戻る。 そして部屋で時間を潰していたらしい光に何の前触れもなく告白したのだ。 「あのさ、僕……。光が好き……」 言ってしまった言葉は取り返しがつかなくて、光が居心地悪そうにしているのを見て心の温度が下がっていく。 「兄妹としてなら受け取っとく」 「違っ」 「やめ、ストップ。今更……、馨は弟としか思えない。妹なんかもっと思えないし。同じ顔なのに無理でしょ? 兄妹って絆で十分じゃん」 光の辛辣な言葉に、唐突に理解した。僕は女としても見てもらえないという事に。多分一緒にいすぎたのだろう。 光にとっては双子の弟でしかない僕。 ここで涙の一つでも落ちれば可愛い女の子だったかもしれない。だけど僕は可愛い女の子になんてなれなくて。 「ごめん、気持ち悪い事言って。無理だってはっきり聞きたかっただけ……だから」 たとえ四親等であっても二親等としての生活が長くて、光にとって僕は肉親以外の者にはなれないのだ。 (僕の恋は終わった) これが僕の最初で最後の恋になるだろう。 光に恋をして、そして恋は実らなくても。 永遠に心に生き続けるだろう僕の恋。 僕は双子の兄、光の幸せだけを願おう。 例え光に嫌われても僕は光に恋し続けるだろうから。 でも僕は光を忘れるのだ……。 |