LADY GO 5
プロになった? 心の中、誰にも話したことはなかったけれど、僕は正直嬉しかった。 進藤の碁に惹かれた僕。今の実力を推し量れる基準を僕は持たないけれど、昔のあの高見から見下ろすような碁を片時も忘れられなかった。 そして君との初めての対局は父が倒れた事でなくなってしまい、一晩が過ぎて父の容体が回復すると残念で仕方がないという思いが生まれた。 もしかして、君は僕と切磋琢磨できる碁打ちになるのではないか。そんな期待だけが大きく膨らむ。 若手の研究会に顔を出して、saiと父の対局を見た僕。 進藤、sai、囲碁。 僕の頭の中から離れないキーワード。 そして父の見舞いに訪れた病院の廊下で、僕は見てしまったのだ。 兄弟子の緒方さんが進藤を襲っているところを……。 「何を……なさってたんですか?」 一応は女性である進藤に乱暴していたように見えた僕の声音は尖り気味だった。見た目はどこからどうみても少年とはいえ、女の子にはもっと優しくすべきではないだろうか。 それだけの意味合い。 しかし、緒方さんは僕に意味深な笑みをみせた。 「十中八九進藤はsaiと知り合いだ。それを問い詰めようとしたんだが……」 つい、乱暴にしてしまった……。と自嘲してみせる兄弟子 本当にそれだけ? 僕にはキスしようとしているように見えたのだが、それはさすがに口をつぐんだ。緒方さんも何も進藤なんかに手を出さなくてももっと綺麗な女性が周りに居るのに、一体どういう趣味をしているのだろうか。 そんな出来事があって、緒方さんはロリコンなうえに趣味が悪いと僕は頭の中にインプットしなおしたのだった。 こんな塔矢アキラに正義の鉄拳が下るのもそう遠くはない未来なのである。 |