君の声が聞こえる場所・序章




 熱い身体の下で。
 その体重を甘く受けとめる。


 揺さぶられるのは身体と心。


 熱い吐息で名前を囁かれ、まるで儀式のようなくちづけに。
 求められる喜びと苦痛。


 嬉しくないはずなんてない。




 ただその情熱が恐いだけ。いつか幻だったと気付いた時に離れていってしまうのが恐いだけ。





 もし。





 ずっと愛していたと打ち明けたなら、きっと夢は覚めてしまうから。
 抱き締め返したなら、この腕の中から消えてしまうから。


 明けない夜はないけれど。


 今は願う。


 永遠の夜。永遠の時。
 そしてずっとお前の声が聞こえる場所にいられる事を……。






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