Sugar Baby Love 1




 とうとうロックオンに知られてしまった。
 俺が女だと知らない最後の人間がロックオンだったと最近聞いた。余程俺なんかに興味がないらしい。
 胸フェチというロックオンにとってCカップ以上が女に区別されていると、Bカップのティエリアが吐き捨てるように言っていた。
 それでも基本的に優しい男なのだろう。女だとバレてからロックオンの態度が少し変化した。
 今までは、大きくなれよ!なんて言ってたのが、最近は、身長はそれぐらいが可愛い。なんて言って縦に伸びろとは言わなくなった。
 それでも、ロックオンにとって俺は年下の仲間なんだろう。
 ロックオンに恋をしてしまった俺は痛む胸を耐えるしかない。いつか風化して、初恋は実らないって体験したよ、なんて笑う日がくるのだ。きっと。





 目の前に立ち塞がるティエリアの視線は雄弁過ぎるほどにロックオンに据えられている。
「数打てば当たるとでも?」
 射撃の訓練を終えてトレーニングルームを出た所で話しかけられたのだ。
「おいおい俺は狙った獲物は外した事ねーけど?」
 スナイプの腕前は自惚れではない。ティエリアのいうように数に頼るような乱射なんて野暮はしない主義だ。
「的は一つに絞っているならいい。フェルトだけでなく刹那にまで子種を仕込むのは遠慮願いたいな」
 そっちか! やっと話の趣旨が見えたロックオンが慌てる。
「待て待て、あいつらは14と16だろうが!範疇外だ!」
 いや刹那のあの色気で迫られたらチャペルの鐘を連打しそうだ。
 この間のベビードールは割と身体にフィットしたものだったが、少し大きめで肩から紐が落ちて少し余った胸元を引き上げてたりとかされると、けっこうヤバいとロックオンは考える。
「何を想像するのも勝手だが人格のないもう一人のお前を制御するのを忘れるな」
 視線がロックオンの下半身を一瞥し、汚ならしいとでも思っているのがその表情で解ってしまう。
 あれも女なんだよなぁとロックオンが呟くが誰の耳に止まる事なく空気と同化した。
 しかし、フェルトも刹那も年下過ぎて話にならないと思いたいのに、この誤解は何なのだ。
 おまけについ刹那の事を考えてしまうなんて重症だろう。
 まだ子供の刹那が気になるとは…。
 自分をロリコンとは思いたくないのに現実はシビアだった。
「ったく、調子狂うぜ」
 ロックオンは苦悩をその精悍な顔に浮かべつつ自室へと戻る。
 次に入ったミッションの準備もあるし、内容をも頭に叩き込もうとしていたのだが、ティエリアの発言に頭を抱える羽目となったのだった。
 気持ちを切り替えてミッションプランを一読したロックオンは困ったように天を仰ぐ。
「刹那と二人って、恨むぜ。ミス・スメラギ」

 そこにはロックオンにとって有難いのかどうか解らないミッションプランがあったのである。




ちょっと短いですが、続きを所望いただく声が多かったので、もう少し先の関係になるまでを。手短に書いていきます!



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