真夜中の人魚姫
闇の中に浮かび上がった白い肢体。鍛え上げられた引き締まった身体だがあくまでもそれは女のものだ。 椀を伏せたような胸はツンと上を向き、小さくとも形が良い。細く括れたウエストに、丸いヒップ。折れそうなほどの細い腕と同じく細く長い脚。それはロックオンが知るような熟れた女の持つ身体ではない。酔った感覚の夜目でもその初々しい身体が少女のものだと解る。 『……誰、だ?』 ここは、どこだ? これは、夢か? 何故、裸の女がここにいる? その存在を確かめようとしたが、強かに飲まされた酒がロックオンの意識を奪っていく。 『まずい、な』 こんな失態は久しぶりだ。一緒に飲んだ酒豪が実動部隊のトップでなければもっとセーブしていただろう。数日はミッション無いわよ〜。なんて酔っぱらいの言葉を信じた訳ではないが確かに甘えもあった。 意識を覚醒させたいのにロックオンの意思とは別に瞼は力を失っていく。 『駄目、だ……』 ぷつん。 まるで糸が切れるようにロックオンの意識はそこで途切れていた。 ロク刹ニョタです。今回は序章的に。全5話ぐらいの予定です。 |