決意は崇高な意志をもって




 たっぷりの水量でシャワーを浴びる。故郷では考えられない贅沢だ。
 これから待ち受ける事を考えて刹那は丁寧に身体を洗う。
 このシャワールームの外にはロックオンが待っている。
 了承したのは自分だ。
 決して軽い気持ちからではない。彼を信じ、己れの気持ちに正直になった結果だ。
 後悔はないが、未経験の事に躊躇してしまうのはやはり16年しか生きていない未熟さからだろうと思う。
 部屋で待つ彼はきっと余裕なのだろうと思うと少し腹がたった。
「刹那?」
 長いシャワーと思っているに違いない。
 外から声がかかる。
 今更逃げ出すつもりはないが、これから起こる未知の体験に身体が震えた。
 あの男らしい大きな手で触れられるのは想像出来る。
 ではその先は?
 きっとロックオンは優しくしてくれるだろう。
 しかし、単純に怖い。
 バスルームをノックする音。もう30分も経っていていぶかしく思うのも尤もだ。
「おい、刹那大丈夫か?」
 鍵のかかっていない扉が開いて、ロックオンの顔が見えた。
 心配そうな顔、そして一緒にシャワーを浴びるつもりなのか衣服は着ていない。その逞しい裸を見た瞬間情けない事に意識が飛んだ。

 霞む意識のどこかであの日の自分達が見えた。







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