今ここにある変革の時
どんよりとまるでこの世の不幸事をすべて引き受けたかのようなロックオンにアレルヤが哀れに思って声をかけたのだが、もうすでにあの日から一週間が過ぎていた。 不本意ながらロックオンを慰める形だったが、こんな彼を見るのは一週間で限界だと、関わらないでおこうという自戒を破ったのだ。 「あれから刹那が口をきいてくれない」 そりゃそうだろう。 「あんな無神経な発言していればね」 ロックオン自身、己れの発言が原因と自覚していたらしい。 「……やっぱセクハラだったか」 もうすでに死語になって久しい言葉だったが、まさにその通りだ。 「そんな真剣に受け取られると困るんだが……」 言葉を濁すロックオンだが、実際に刹那が気分を害しているのだから大いに反省すべきだろう。 「ジョークにしてはたちが悪い。真剣に諭すつもりなら軽すぎですね」 特にロックオンの視線について言うべきだろうか。 迷いに迷ってアレルヤはロックオンへと苦言を呈する事にした。 「気付いてないのかもしれませんが……」 ロックオンは刹那をとてもいやらしい目付きで見ているのだ。標的を狙うスナイパー…を通り越して変態丸出しとも言えようか。 視姦とはこの事を指すに違いない。 だがそれを正直に伝えるのは気が引けた。 「そう、ですね。男同士経験があるのにそんなにガード固くする必要ないんじゃない? と受け取ったのかも」 「まさか、いくらなんでもそりゃ勘ぐりすぎだろ。第一にそんなつもりはないし、刹那だって人並みに女の子とそういうのもありかなって」 あーでもまずかったか。なんてごちたロックオンは席を立つ。 「刹那はロックオン・ストラトスしか見てないよ」 刹那の言葉を思い返せば解る。まず第一に相手を男だと前提していたではないか。 そんなアレルヤの言葉は刹那を探しに行ったロックオンには届かなかった。 |