I LOVED
体格差は予想以上に有効でほんの少しの隙にロックオンは刹那を押し倒していた。 ずっとこうしたかったからだとロックオンは言い訳をしつつ刹那の唇を奪う。 抵抗はなかった。 まさか刹那も同じ気持ちだったのかと顔を見れば冷めた瞳がこちらを向いているではないか。 「刹那?」 問いかけにもほぼ無表情でいつもと変わる様子はない。 「力がすべてだ。お前の方が有利だっただけだ」 こいつは一体何を言っている? 咄嗟に理解出来ずに黙っていると刹那が続ける。 「一つ条件がある。身体に傷つけても良いが動けなくなるのは勘弁してくれ」 素っ気なく言った刹那に耳を疑った。 「傷って、俺はお前を愛してるんだ!愛しあいたいだけなんだ。傷つけるはずがないだろう?」 「愛? そんなものを信じているのか。この世に神はいないのと同じなのに」 嘲笑するかのような刹那。これがまだ16の少年の言葉だろうか? 愛して何が悪い。見目だけであろうはずがない。その魂に畏怖を覚えた。惹かれるに理由がいるのか。 なのに少年は無抵抗で感情のない瞳で見上げてくる。 そこにあるのは諦めか? ならばなんと空虚な魂か。 感情があれとすれば憎しみだ。理不尽に対する、戦争根絶を目標とし自らの手を汚す覚悟をさせる程の憎しみ。 「しないのか?」 動きの止まったロックオンに刹那はするなら早くしろと目を瞑る。 「人形なんか抱く気になるかよ」 そう言って乱れた服を整えてロックオンは立ち上がった。 俺が刹那に何を求めているか。答えは解っていたがやりきれない思いで封じる。何がこの少年を人形にしてしまったのか。 諦めるしかないのか?それとも俺がこの人形を人間に出来るのか?。 どちらも出来そうにないとロックオンはその端正な顔に苦悶の表情を浮かべるのだった。 瞼を閉じれば懐かしい顔が浮かぶ。 アリー・アル・サーシェス。 唯一の男。 あの砂漠で星空の下、温かい腕の中で囁かれた言葉を思い出す。 「絶対にお前を連れていく。俺のすべてをやる」 そう言ったのにあんたは俺を残して死んでしまった。最大の裏切り。それから俺は誰も信じないし愛さない。 俺の中の愛は死んだのだ。喜びも楽しみもない。 この身体にあるのは憎しみと苦しみのみ。 戦争が俺からあんたを奪っていった。戦争が憎い、あんたを奪った戦争が。 こんな俺を求めるお前の方が悪いんだ、ロックオン。 子供に手を出すつもりはないとアリーは笑い、それでも存分に注がれた愛情。 まだ子供だったが本当に愛していた。どれだけアリーに抱かれたかったか。 愛はアリーに全部捧げた。あの男が墓場に持って行ったんだ。 だからロックオンからの愛情には身体しか与えられない。 それが不満だと? どうしてだ? より強い者が搾取するのが当たり前なのに。 辛そうな顔をして部屋を出て行ったロックオン。 あの状態をどうしてやめたのか。 自由にすればいいのに。 馬鹿な男だ。 まだロックオンに残された唇の感触が残っていた。 「本当に馬鹿な男だ」 それがはまるで自分への言葉にも思えて刹那は首を振った。 このまま平行線を辿ると思われていた二人の関係はアリー・アル・サーシェスが生きていた事で大きく様変わりしていく。 ロックオンの想いは通じるのか。 唯一愛した男との再会に刹那は……。 コピー本にしようかなーと書き始めたもののあまりにも長くなりそうなのと妄想すぎるかなと諦めた、昼メロなロク→刹。出だしはアリ←刹ですが最後はロク刹になるはず。しかし妄想が過ぎますorz |