私は貴方を愛しています
馬鹿な事を口走ったと刹那は逃げ出しながら己れの変化に戸惑っていた。 ロックオンを試すつもりが、どうしてこんなに心が痛い? ふざけた行為を諦めさせたかっただけなのに。知ればきっと諦めると思ったのに。 『いや、そんな重いのは勘弁だよな』 『解ったなら俺に構うな』 そう言って一瞥してやるつもりだった。それなのにロックオンの困った表情を見たら胸が痛くなって自分でも訳のわからない行動に出てしまっていた。 想像以上に自分がロックオンという存在を必要としている事に驚くべきか。 エクシアを前にして大切だと思う事が増えたと気付く。 (ロックオンの声が聞きたい……) 自分に芽生えた感情に、それでも刹那は戸惑いながらも受け入れ始めていた。 「やっぱりここだったか」 迷わずに格納庫に来たのだろう。息一つ乱れていない。 少し髪型が崩れたのはさっき自分が蹴ったせいだろうか。手櫛で直す仕草もさまになる男だ。 そんな男が何故自分なのか? 気が付けば、刹那はロックオンが近付く分だけ距離を開けようと後ろに下がっていた。 「ちょっと待てよ、俺はお前さえ許してくれるなら一生一緒にいたいんだ!」 焦った口調でも真摯な表情は銃を構えている時と同じで、そんなロックオンの言葉に嬉しさを覚えたが顔には出さない。 しかし考えるより早く刹那は行動は移していた。 「その覚悟がどれ程か見届けてやる」 おもむろにロックオンの手を取り、自室へと向かって歩きだす。 「せ、刹那?」 「セックスすると言っている」 直接的な言葉にロックオンの戸惑いが解る。 言葉とか、そんな頭で理解するより感覚で知りたかった。 自分の心とロックオンの心を。 ここで、後日に持ち越せば曖昧になってしまいそうな感覚の正体をはっきりさせたい。 それが身体を重ねる事に繋がるなら敢えて立ち向かうつもりだった。何よりも、ロックオンを信じ、自分を信じ……・。 部屋へと誘いシャワーを浴びて……、 ぐいっと引き上げられるように意識が戻る。 「刹那っ」 そこには心配そうなロックオンの顔があった。 |