今日はクリスマスイブだ。恋人の小松と二人きり……は、小松の職業柄諦めている。
しかしいつかは二人きりでクリスマスディナーというのはトリコの密かな願いだ。
「わかるよ、トリコ。その気持ち」
突如トリコの思考を邪魔をしたのはココだ。
「ボクだって小松くんと二人きりでクリスマスデートをしたいと思ってたんだ」
『わー素敵な景色ですねココさん』
「この景色を小松くんに見せたくてね」
『ありがとうございます、ココさん。ボク……嬉しい。でもこんなクリスマスにボクなんか誘っても……』
「君だから誘いたかったんだ。ボクの気持ちわかってくれるよね?」
『ココさんっっ』
ガシッと自分で自分を抱きしめるココを、トリコは後ろからポカリと殴る。
「こら、ココ!!! いい加減にしろよ! 勝手に人の思考を読んだ挙げ句に気持ち悪い声マネするんじゃねぇ!!!」
「いいじゃないか、妄想ぐらい」
「だーかーらー、声に出すなってんの」
「トリコなんか妄想だけじゃなくって、小松くんにあんな事やこんな事してるってのに」
妄想ぐらいかまわないじゃないかと抗議するココに、トリコは胸を張る。
「そりゃあ恋人同士だしな」
そんな得意げなトリコをココが睨む。
「……月の出ない夜は、・・・毒に気をつけるんだな」
「おいっ、それ犯人もろバレじゃねぇかっっ」
恐ろしい奴だなーと言いつつもトリコは一枚の封筒を取り出す。
「そういや、ホテルグルメから招待状届いてたんだ。一緒に行くか?」
「へー、クリスマスパーティーでもあるのかい?」
「小松のショーがあるって聞いてるぜ」
場所がプライベートテラスになっていたはずだ。センチュリースープを完成させた小松に世間の注目が集まったので会費制のパーティーを計画したらしい。
「小松くんのショー……、まさか本番ショーかっっ」
「帰れヘンタイ」
「本番ショーなら是非ボクが相手したいっっ。トリコ、ボクは用意しなくちゃならないから!! 現地集合で!!!」
キッスに乗って行ってしまった旧友をトリコは見守る。
「クリスマスマグロの解体ショー……ってのは言わないでおくか」
あまりにも哀れすぎてどこまでツッコミを入れて良いかわからないトリコなのであった。
クリスマスマグロはクリスマス時期に全身がトロになるマグロ……とかだったらいいなー。相変わらずのお下品失礼しました〜
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