照明を可能なかぎり落とした部屋。独特の匂いが部屋を支配する。
「……もう、ダメ。限界です」
息も絶え絶えに、涙目の小松がトリコに限界を訴える。その表情には疲労の色が濃い。
「なんだよ、情けねぇなぁ。まだまだ夜はこれからだぜ?」
そうトリコが言うが、もう何時間拘束されているだろう。
「ほら、もっと出るだろ」
「そんなっ、」
トリコの休む事ない手に小松は恐怖すら感じていた。
悪人にも負けない凶悪な笑みすら浮かべるが、それすら魅力的なのは反則だろう。
この目の前の男が、あのトリコなのか疑問すら浮かぶ。
「もう許してください…、」
本当にこれ以上は限界だった。
「……壊れちゃいます」
「ははは、ちゃんと手加減してやってるんだぜ?」
トリコの言葉に小松は震えた。
これで手加減されているなんて。もう足も腰も力が入らない。
「オレのパートナーになったんだ、これぐらい軽くこなさなきゃな」
「そんなっ、いくらパートナーだからってこんなの酷いです」
「酷いだって?その酷い男のパートナーになれて喜んでたのは小松じゃねぇか」
手元の酒に手を伸ばしたトリコは一瓶をほぼ一口で飲み干す。
「なぁ、正直に言えよ。オレのパートナーになれて嬉しいってよ。今だってオレに食われて喜んでんだろ?」
揶揄するトリコに、小松は図星すぎて二の句が継げなかった。
確かに、拒絶の言葉を紡ぎながらも心の奥底では喜んでいるのだ。
腕を引かれれば、強引な男になす術も無い。
酷い男に惚れ込んだ自分の負けなのだと諦め、小松はただその要求を受け入れるしかないのだった。
「だからって連続12時間も食べ続けるっておかしいでしょ!」
トリコがグルメ界から帰ってきて、帰還祝いをしようと言ったのは小松だ。
プライベートテラスを手配して食材も最高級を用意した。軽く500人前はあった食材がもう空だ。
「なんだよー、ごちそうしてくれるって言ったのは小松だろー」
まだ満腹ではないからと手を休めないトリコである。無尽蔵とも思える食欲だ。
「ホントにもう何も出ません!勘弁してくださいよ〜!」
美味しそうに食べてくれるのは嬉しいけれど、立ちっぱなしで12時間も料理していれば足も腰も限界で…。
トリコのパートナーとなったのを早くも後悔する小松なのであった。
期待した方がいらっしゃったらすみません<(_ _)> この裏バージョンはありません…。しかしこの二人は普通にしててもなんかエロい気がします。
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