あんのやろう。
オレの目の前でゼブラのフルコースに興味津々な顔をしやがって。
いや実際に興味津々なのだろうが。
あのよ、オレとお前はコンビだろ?
この間のクリスマスの時だって、オレに同行したいと一言も漏らさなかった。
オレが海中レストランへと誘わなかったら、お前そのまま春まで仕事一色だったはずだ。
バレンタインデーにホワイトデー、飲食業界は今がかき入れ時だ。
「うちはトリコと一緒に行くし」
リンの言葉に動揺すらしない
なんだよ。オレが他の人間と一緒に行動するという事実に危機感はないのか。
リンはこう見えても一応女だぞ。オレにとっちゃ妹にしか見えないけど、オレにぞっこんなんだぞ。
間違いだって起こらないとは断言できないんだぞ!
クリスマスの時だって、普通は恋人同士なら一緒に来たいって思わねぇかなぁ。
所詮、小松に男心を押しはかれなんて無理な話だったのかもしれない。
いまアイツの頭の中はマダムフィッシュしかないだろう。
小松一色のオレとは大違いだ。
オレばっかが小松の事を好きだなんて。くそっ、涙で前が見えねぇよ。
もしかして恋人同士だって思ってるのがオレだけだったら盛大にへこむから考えないでおこう。
折角リンさんが来てくれてるのに、ボクがいたらお邪魔だよね……。
そりゃあボクはコンビを組んだパートナーだけど。
リンさんの恋路の邪魔は出来ない。ボクだってちゃんと空気を読めるんだから。
でもホントはちょっと寂しい。
どうして一言、小松一緒に行こうぜ! って声をかけてくれないんでしょう……。
コンビだから常に一緒にいるというのはボクの誤解なんですか?
以前ボクの事を好きだって言ってくれましたよね。あれ、とっても嬉しかったんですよ、トリコさん。
もちろんパートナーとしての好きだって解ってますけど。だからこそ常に一緒にいられると思ってたのに。
トリコさん、とっても楽しそうにリンさんと二人で行っちゃうし。
クリスマスの時は恋人同士のイベントだし遠慮したけれど、今回はハントなんだから、オレと釣ろうぜって笑って言ってくれると思ってたのに。
涙が頬を伝う。
やだな。こんな女々しいの。
リンさんに笑いかけるトリコさんなんか見たくないなんて、ボクはどうしたんだろう。
どうしてこんなに胸が痛い?
(恋はすぐそこ)
週間妄想BLジャンプ175派生でしたー
NOVEL TOP