この屋敷には何かがいる。皆には感じられないかもしれない気配。
大きな妖気が近づき、美しい羽の鳥が舞い降りたかと思うが、それも一瞬で消え失せる。
「消えた?」
あんな大きな鳥が存在するのかという以前に見間違いだったかとリクオは首を傾げる。
「清継くん後ろ!」
視界の端に動く影に、友人より早く駆け出して。
「これは!」
先程庭に舞い降りた鳥だと認識すると同時に鳥の形が人へと姿を変える。
「鴆くん!」
どうして? わざわざこんなところに?
「こんなところで人間のガキと逢い引きなんざ、どういうつもりだ?」
目付きがいつもと違う。鴆くんから感じるのは怒りだ。
どうして? そんなに怒る事?
「ふ、二人きりじゃないしメンバーは他にもいるよ!つららだって!」
「現に二人きりで話してたじゃねぇか」
「だから!清継くんとは友達だって!」
そりゃあ今はたまたま二人きりだったけれど。
鴆くんはどうやらボクと清継くんとの間を疑っていて、何もないと説明してもなかなか信じてもらえていない。
鴆くんにしてみれば、ボクが友人と旅行っていうのを実は逢い引きじゃないかと怪しんでいるのだ。
馬鹿馬鹿しい、まだ中学生だという子供のする行動とでも?
おまけに男同士なのだ。ありえない。
自分と鴆が所謂恋人となったのは運命であり、そんな貴重な関係を他に築けるはずがないではないか。
しかし鴆はリクオの説明には耳を貸さず、怒りのままに行動にでる。
リクオの腕を掴み、引き寄せたかと思うと足を払い、自分より一回りは小さいリクオを組み敷いたのだ。
驚く間もなく、唇を奪われ細い首筋に赤い跡を残される。
鴆によって慣らされた身体はそれだけで快楽を思い出しスイッチが入ったかのように溶けてくる。
「近づいちゃ駄目だ! 清継くん!」
皆のところに戻るのだと、近づいてくる足音を必死に制止すれば、それすらも鴆の怒りを買う。
「人間の情人には見られたくねぇってかい?」
「違う! そんなんじゃない!」
「どうせなら盛大に見せつけてやろうとするか」
面白そうにリクオの衣服を脱がす鴆になすすべもないリクオなのであった。
思わずあの影に飲み込まれる昼若に萌えてしまったのです。あれはきっと嫉妬に狂った鴆くんに違いない!!と、まぁ妄想でした
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