今はぬけがら寺と呼ばれる玄武寺。
『あー、六年前に強盗事件があったらしいのよ』
『うちが引越してくる前だ』
「って親が。近所ではそうなってるんやね」
「当たり前だ、誰がヨーマの仕業って信じるってんだ」
一堂に会した場所での美依子の発言に、一燈が補足説明をする。
世間的には継承式での時人の事はそう公表されている。

では、もし時人が魔道に落ちなければ時生はどうしていたかというと、普通に学校に通い、将来は僧侶になっていたはずなのだ。
長男が家督とヨーマを継ぎ、次男は同じ宗派に入り婿というパターンが一般的だ。
一燈の説明に時生も頷く。
「無難に仏教系の大学で学んで修業に出て、でしょうね」
「時生さんがそんなとこ入ったら餌食っスね」
「なんのですか」
光樹が真剣な口調で言うが時生は呆れたように彼を一瞥する。
解ってるくせに〜と茶化す光樹の、言いたい事が解らない時生ではない。
「おまけに夏の法衣ってのは透けるんだぞ」
「マジ?うわー残念見たかった」
「着物姿は何気に色っぽく見えるしな」
夏物は生地が紗で作られているので確かに透けるが、そんな目で見るほうがおかしいだろう。
なのに美依子までもが納得したように時生を見つめるではないか。
「良かったな志村! これ以上変態に囲まれやんで」
今も一燈や光樹という時生を狙う人間がいるのに、これ以上増えると大変だと力説する美依子。


何故か自分の存在がおかしな位置付けにあると頭を抱える時生なのであった。



皆、時生狙い設定。
ミーコは腐女子!?




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