ケンタウルスの矢




「この傷……」
 四凶がみちるを襲い、そして時生が大怪我をしたのはほんの数日前だ。みちるの力が覚醒し傷は癒えたと思っていたのだが、どうやら完全な癒しの力は得ていなかったらしい。
「えぇ、少し。後遺症ですよ」
 日に焼けない白い身体には、黒ずんだ痕が残っている。塞がってはいるものの、貫通したという傷は触れると痛みを伴うらしい。胸と腹に一つずつ、そして脹脛とで四つの痕。
「気にいらねーな」
 俺のモノに傷をつけるなんて。
 そんな独占欲を覚える自分を一燈は笑う。
「カトブレパスだって止められないものがあるんです」
 機嫌を損ねた時生は一燈が自分の腑甲斐なさに悪態をついたと思ったらしい。
「ちげーよ。いくら守護家最強の志村とはいっても時生は俺の恋人なんだし、守りたいし怪我なんてさせたくねーってんの」
 その傷の一つに口づけして、少し力をいれて舌で押す。
「やっ、一燈さ、ん……」
 痛みがあると言ったばかりなのに、わざと痛くする一燈に時生は抗議の声をあげるが、弱い部分にまで舌を這わせられて、甘い吐息しか出てこなくなる。
「ヤベーよな、時生。こんなにお前に夢中になるなんてよ? よくも俺の心を止めやがって」
 射止められたのだと言う一燈の肩を押して、時生は胸にキスを落としていた一燈の瞳を見据える。
「じゃあ、一燈さんの炎で僕を焼き尽くしてください」
 キブアンドテイク。同じように心奪われたのだと一燈に伝えたかったのだが、そのセリフに一燈は口の端を上げる。
「時生も一人前に、いやらしい誘い方すんじゃねーの」
 俺の炎は半端じゃねーぜ。と、耳元で囁き時生の片足を挿れやすいように持ち上げる。
「そっそんな意味じゃ、あっ、一燈さ、んんっ」
「今日も説教5時間だから覚悟しな」



 どんなに交わっても、いずれ離れてしまうのは確信していたけれど。
 今は刹那の世界で互いを分かち合って、溶け合って……。






うちの若、手が早いな……。
二人とも若いからお盛んなのです。すみませ……ん。ジャンプを読んで、完全に癒されてなければいいなーと思った突発SSでした。



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