片思いの悲劇2




 身体は手に入れた。
 快楽に震える華奢な身体。慣れるはずのない身体。
 それを自分には珍しいほどの丹念さでもって、開くはずのない固い蕾を綻ばせた。
 何度となく身体は一つに溶け合っているのに。すでに手中に落ちているはずなのにまだ届かない。

 必死に流されまいと耐える身を組み敷いて。
 細胞の一つ一つに愛していると囁いても、心の奥底には届かない。

 やっと口説き落とし初めて交わったあの夜。
 目を閉じて透明の涙を浮かべた想い人。愛してると囁いても悲しい顔を見せるだけ。
 求めても求められる事なく、粛々と受け入れるのは、まるで罰を受け入れているようで。

(お前の身も心も手に入れたいというのは我が儘なのか?)

「シャワー浴びてきます」
 そう残して消えた白い背中がいつまでも瞼の裏に焼き付いていた。


 お前の心を手に入れたいだなんて。
 重傷だ。





一燈さんも時生くんにかなりご執心なのです。
お互い両思いなのに片思いだと思っている二人。



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