二人きりの夜




 たった二人だけの空間。
 そこには時生と一燈の息遣いだけがあり、秘めやかに闇に吸い込まれていく。


 一燈の強引なまでの行為に時生の声が震える。
「痛っ、一燈さん、もう……許してくだ、さい……」
 大きな瞳が痛みに潤む。
 しかし、時生の哀願に動じるどころか一燈はさらに行為を押し進めようとするではないか。
「許してだって? 嫌だね」
 意地悪く目を細めた一燈から逃げようとする時生だったが腕を掴まれて身動きすら出来ない。
「そんなの、入りませ…んから」
 拒否する時生に一燈が無理矢理入れようと力を込める。その余りの痛みに時生の双眸から涙が落ちた。
「これぐらいで泣くな。欲しいって言ったのは時生だろーが」
「……そうです、けど」

 欲しいと恥もなく請うたのは自分だと自覚があったが、まさかここまで入らないものとは時生も思わなかったのだ。


「痛いですっ!無理です」
「我慢しろ、もうちょっとで入る」
 力を抜けという一燈に時生は頭を振る。
「入りません!」
「時生が欲しいって言ったんだろうが」
「だって、」
「それとも俺をからかったのか?」
「違いますっ」
 ずっと欲しいと思っていたのだ。その想いを一燈に言うつもりなどなかったのに、我慢出来なくなるなんて。
 打ち明けた時、一燈は快く了承してくれて嬉しさのあまり彼へと抱きついた。
 それなのに自分は今、彼の行為を拒んでしまっていて。
 悔しさに時生は唇を噛む。




「俺がピンキーリングでしてたのを中指でするって言ったのは時生だろ!」
「もっと上手に入れてください」 
 一燈が小指にしていたリングが大好きなアニメの主人公のアクセサリーに酷似していて、オタクだと言われるのは解っていたけれど譲ってくれと打ち明けたのだ。
「あーもう!このオタク!おまけにヘタレか!」
「骨太なんです!見れば解るでしょう!」
 入らないと諦めかけた時生に、一気に入れれば入ると断言した一燈が無理矢理入れようとしていたのだが。


 結局、中指に嵌める事を諦めるよう説得する一燈と、それでは憧れのキャラと違うと意外と頑固な時生の二人の夜は過ぎていくのであった。






一言。すみません・・・、ギャグなんです…



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