なんか前フリで色々書いてたのが消えた・・・。
せっかく書いたのになぁ。
とりあえずグルメ131派生、週刊妄想BLジャンプです。
ものすごいスピードで流されていく。これが砂とはとても思えなかった。
そんじょそこらのジェットコースターなどとは比べ物にはならない。
トリコとはぐれたのだ。命を失う覚悟は出来ているから遺書だって用意してある。しかしその遺書は鞄の中だったから鞄ごと食べられては元も子もない。
護ってやるとのトリコの言葉を疑った事はない。ラクダから落ちた自分が悪いのだと小松は諦めた。
ずっと憧れだった美食屋トリコとコンビを組めたのだから自分の人生も悪くはなかっただろう。
ハントに同行して死ねるなんて料理人としては最高の最期に違いない。
唯一心残りが憧れの人に告白出来なかった事だ。フルコースが完成したらなんて躊躇した自分が悪い。一度死んだ人生だからともっと自由に生きれば良かったのだ。
(もし、無事にトリコさんの元へと戻れたら…)
貴方が好だと、告げよう…。
「オレのコンビだ!! どーしても救いたい…!!」
一刻も早く助けてやりたいとトリコは小松の消えた砂の渦を見つめた。幸いゼブラが小松の位置を把握しているようだったが、それも時間の問題だろう。
オレのコンビだと言ったトリコだったが、本音を言えばオレの恋人だと言える関係になりたいと思っていた。
小松の気持ちも薄々感じていたし、満更でもなかった。
二代目メルクと付き合ってくれれば、自分の想いも小松の想いも勘違いだったと片付けられただろうに。温泉で、メルクを好きになったのかと小松を煽っても、反対に余計に苦しくなって。
小松のことだから絶対に自分から告白するような事はしないだろうから、フルコースが完成したら自分から告白するのも悪くないと思っていた。それなのに肝心の小松を失うなんて滑稽な話だ。
小松には死ぬ覚悟が出来ているだろうが、自分には小松を失う覚悟は出来ていないとトリコの焦りが増す。
「なぁゼブラ、頼む。吠え弾で小松を救ってくれ。どんな事をしてもあいつを失いたくないんだ」
(他の誰にだって渡さない)
小僧が離れていく。もう何キロ離れただろうか。
あの小僧を失いたくないのは自分も同じだ。初めてみた真正直な人間。庭で育った仲間以外に適応する者が現れるとは正直期待していなかった。
それに料理は絶品だったし何よりも声が良い。いつまでも聞いていたくなる。
鳴かせたくなると、公言こそしないが、いつかはこの腕の中で思う存分鳴かせてやるつもりだった。
珍しくトリコが焦っている。こんな必死な顔を見たのはいつぶりだろうか。
二人の鼓動から好きあっているのが判る。
そんなに大事なら腰に命綱でもつけておくべきだ。オレなら小僧に首輪をつけてやると、ゼブラはほくそ笑む。
「心配すんな、小僧なら助けてやるさ」
(ただしオレのためだ。)
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