派生というか妄想というか。
伏目稲荷へと進路は決まった。敵陣からの突然の襲撃だったが反対に士気は上がっている。百鬼夜行を従え、今こそ因縁を断ち切るのだ。
我こそはと側近達がリクオの傍らに立つ。が、その中に見つけた男にリクオは冷たく言い放つ。
「鴆、てめぇは留守番だからな」
「おいおい、そりゃあ何の冗談だ?」
「言葉どおりだ」
しかし鴆もここで引く気はない。せっかくここまでやってきたのだ。
すべてを見届ける権利があろう。
「宝船が負傷してるじゃねぇか」
治してやれとのリクオに鴆が捲し立てる。
「バカ野郎っ!オレぁ船大工じゃねぇぞ?」
「後ろを任せるってんだ!素直に聞きやがれ」
「オレはリクオのっ」
側でいたい。命尽きるならなおさら。そんな言葉を飲み込んだか、鴆は諦めたかのように溜め息をついた。
義兄弟とはいえ、リクオは唯一の主と認めた男なのだ。その命を違えることはいくら鴆でも出来なかった。
「解ったよ。その代わり。リクオが帰ってきたら」
鴆の言葉を途中で切ってリクオは自信ありげな笑みを浮かべる。
「あぁ解ってるさ」
必ず羽衣狐の呪縛を絶ちきってみせると正面を見据えた妖怪の主に、奴良組の士気はいっそう高まるのだった。
「リクオが帰ってきたら、このオレと祝言だ」
そんな鴆の言葉をリクオが知るのは夫婦盃を交わすその瞬間だったとか…。
見開きに鴆がいない…?もしかして留守番?と書いてみたんですが。でも本音は若の隣で活躍してもらいたいです。