眠れ、幼子よ
「ニールだ。ベッドの中ではニールと呼んでくれ」 「断る。お前はロックオン・ストラトスだ」 いつも思うのだが、なんて強情なんだろう。 普通、即答するか? 睦言ぐらいのノリで呼んでくれたっていいじゃないか。減るもんでもなし。 セックスする方が余程特別じゃないだろうか。 腹が立つから、さっきから動かしている腰をより早く動かす。 まぁあんまりし過ぎるとこっちが先にイっちまうんでそこそこに、だが。 「ぁ、は…んっ」 普段見る刹那の冷めた表情とは正反対な顔。 吐息は甘く、胸の尖りは固くなり、さらにまだまだ幼い刹那のモノも固くなっている。 「じゃあさ、刹那。お前のホントの名前ってなんていうんだ?」 「……守秘、義務だ」 「都合のいい時だけ守秘義務だって?コノヤロ」 苛立ちのままに刹那を責めるとまだまだ不慣れな刹那は呆気なく達してしまう。 多少の満足感に今度は自分の快楽を求め腰を動かした。 虚脱感の混じる事後に、刹那の身体を優しく抱き締める。 「俺はさ、刹那に本名で呼んでもらいたいと思うんだがな」 そして刹那の本当の名を呼ぶ権利を手に入れたかった。特別な存在になりたかった。 「俺は違う。俺は刹那・F・セイエイだ」 黙ってしまったのは過去にある何かを思いだしているからか。 『ニール!』 辛い記憶とともに幸せな記憶を思い出す。 刹那に名を呼んでもらいたいのは今のこの瞬間を幸せだと思いたいからか。 腕の中で身体を強張らせた刹那。 愛しいこの存在に、平和な時代なら会えなかったなんて。 この感慨を解ってくれよ、刹那。 やっと整った呼吸の下、刹那が呟く。 「もし俺を本当の名で呼び、抱くというなら俺は平静でいる自信がない」 刹那の珍しく狼狽えるような口調にその過去を思う。 お前には過去一度も幸せだった事はなかったんだな。 それどころか幼い心は休まる事すらなかったのだろう。 だから俺は眠ったふりをして、刹那を強く抱き締めた。 今だけはせめて幸せだと思ってほしくて……。 刹那は少年兵時代にアリーに食べられちゃってて、それが無理矢理とか、外道なセックスだったもんで、思い出すのが嫌でロックオンには名前を呼ばれたくないのです。 |